ドイツの偉大な作曲家ベートーヴェンをご存知でしょうか?
普段、音楽をあまり聴かない方でも名前くらいは聞いた事があるという方が多いと思います。
18世紀から19世紀辺りにかけて活躍した音楽家で、その作品は古典派音楽の集大成とも言われており、代表作には“月光”や“テンペスト”などがあります。
まさに教科書に載るような音楽ですね!
クラシックとコーヒーの組み合わせも休日の朝には素晴らしいものですが、今回ご紹介したいのはベートーヴェンにまつわる1つの逸話です。
ベートーヴェンは大のコーヒー好きとして知られている音楽家ですが、
「彼はコーヒーを飲む際に必ず60粒のコーヒー豆を数えて淹れていた」
というものです。
いやー、、大変、几帳面ですね。
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60粒のコーヒーで淹れてみた
では早速、60粒数え上げて抽出をしてみたいと思います。
使用する豆はブラジル イエローブルボン。
ブラジル産の希少な豆で、コーヒーチェリーが黄色い事からその名が付きました。
個人的に大好きな豆です。
60粒を実際に数えて、計ってみると7.5gくらいでした。
明らかに少ないし、薄いコーヒーになりそうですが、ひとまず140ml抽出で淹れてみます。
抽出方法は18世紀に主流だったと思われる布ドリップ(ネルドリップ)です。
(※18世紀後半、貿易赤字に悩むフリードリヒ大王により、コーヒーには高い関税が掛けられ、お金持ち様しか飲めなかった模様。
市井では代用コーヒーが流行する)
実はサイフォンコーヒーもペーパードリップもまだ発明されていない頃なんですね。
ちなみに、サイフォンコーヒーが1830年頃ドイツで使用されていたのが確認されており、ペーパードリップについては1908年に、これまたドイツのメリタ夫人が発明したと言われています。
飲んでみた感想
まさかの、、意外と美味しい。
若干薄い感じは否めませんが、マイルドと言える範囲で普通に美味しいです。
結構マジな感じで動揺してしまいました(焦
しかし、若干薄い感じも否めないわけで、物足りなさがあるのも事実です。
提案したい1.5ベートーヴェン
60粒を1ベートーヴェンと考えた時、先程述べた通り薄味なのが発覚したわけですが、巷で代用コーヒーが流行するような時代柄、もしかすると仕方がなかったのかもしれません。
もっとも何mlで抽出していた、どのように淹れていたという確かな情報があまりない現状、ベートーヴェンに薄味のレッテルを貼るのはあまりに早計です。
ここで重要なのは現代の一杯がおよそ140〜160mlで淹れられており、1ベートーヴェンでは薄味という点です。
論理的かつ明快な解決方法として、私は考えました。
「一人でダメなら、二人居ればいいのよ」
はい。
120粒数えて淹れてみました。
結論から申し上げますと、2ベートーヴェンではあまり汎用性がないことがわかりました。
結構小粒な豆とかは120粒でも意外とイケます。
豆の大きさ、質量、焙煎度などあらゆる観点から調整を重ね私が出した結論は1.5ベートーヴェンです。
1.5ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが最適解です。
間違いありません。※個人的見解
1.5ベートーヴェン(90粒)は質量にして、約11g前後に落ち着きます。
(ちなみに、140ml〜160mlを抽出する際の適正な範囲が大体10gから12g前後です。)
もちろん、焙煎度により質量の前後はありますが、味は文句なしです。
質量ではなく、数量で計る考え方
今回のドリップを通した私が感じたことは、自分の理解出来ない事、または知らない事が常に劣っているとは限らない、ということです。
一見して当然のことのように思えますが、そこにバイアスがあります。
私は無意識のうちに豆を数えて計るという原始的な手法が、普段行なっている近代的な手法に劣っている事を前提に考えていました。
しかし、技術的難易度を差し置いて、原理から考えれば大差は無いように思えます。
豆の量をスケールを用いて質量で計る、
ドリッパー付属のスプーンで体積を計る、
今回の豆の数を数えて数量で計る。
これは何を計っているかの違いです。
これらの手法に一長一短あれど、優劣はつけ難いでしょう。
少なくとも、実践する前から結論を出すのは浅はかな考えです。
実際に抽出してみて、豆の数を数えて美味しいコーヒーが淹れられることも確認できました。
(何度も数えるのは非常に面倒ではありましたが、美味しいコーヒーを淹れるという観点からは劣っているとはいえない。いえないはず!)
世の中、私のような愚か者ばかりではないでしょうが、賢い者ばかりではないのも確かです。
何事にしても、普段やる前から劣っていると考えていることはありませんか?
意識的にせよ、無意識的にせよ、何かあるのではないかと思います。
差し当たっては、コーヒー豆を90粒数え上げてみてはいかがでしょうか?