コーヒー豆を購入する際に「ブルボン」や「アラビカ100%」といった単語を目にすることがありませんか?
これらはコーヒーの品種を表しています。
知っているようで知らないコーヒーの品種についてご紹介いたします。
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コーヒー|3大原種とは?
コーヒーの種は大きく分けると3つに分類することができます。
それが「アラビカ種」「ロブスタ種」「リベリカ種」の3つになります。
これらがベースで新しい品種が数多く生み出されていることから3大原種とも呼ばれています。
市場に出回っているコーヒーは、
そのほとんどがアラビカ種で全体の約70%を占めているそうです。
上のグラフでもわかるようにほとんどがアラビカ種ですがこれはどうしてなのでしょうか?
3大原種ごとにみていきましょう。
<アラビカ種>
アラビカ種のコーヒーは非常に風味や香りに優れており、特に高品質な酸味と豊かな香りに定評があるためストレートコーヒーとして提供されることが多くみられます。
しかし、アラビカ種は病害虫や高温多湿に弱く栽培するのが非常に難しいと言われています。
この問題を解決すべく、各国で品種改良がおこなわれ今では突然変異などで生まれた品種も合わせると200を超えると言われているほどです。
栽培に適しているのは気温15~24度で、標高500~2300mと高地が適しています。
<ロブスタ種>
こちらは元々はカネフォラ種という名前で、このカネフォラ種の中の種類の一つとしてロブスタ種があります。
今ではロブスタ種がメインであることからカネフォラ=ロブスタと考えられるようになり、ロブスタ種と言われるのが主流となりました。
このコーヒー豆は病害虫に強く栽培に苦労しない反面、風味や香りはアラビカ種に比べて劣り、特に香りは泥臭く一般にロブ臭と言われるほど好まれない匂いです。
そのため安価なレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーのかさ増しとして使われることが多いです。
見た目は丸みを帯びたころころとした形のものがほとんどです。
インドネシアなどでは今でも多くがロブスタ種が生産されています。
<リベリカ種>
あまり名前に聞きなじみのない方も多いかと思われますがそれもその通りです。
リベリカ種はかつては3大原種に入るほど多く栽培されていましたが、現在はほとんど栽培されていない現状にあります。
というのも、リベリカ種は病害虫に弱いうえに、味の質もさして良くないため需要が無くなり自然と生産量が減ってしまいました。
現在では西アフリカやフィリピンなどで栽培されています。
アラビカ種から生まれた様々な品種
アラビカ種やロブスタ種の栽培だけではいけないと考えられ、あらゆる所で品種改良が行われるようになりました。
その主な理由が
・アラビカ種は病害虫に弱く栽培が難しい
・もっと様々なフレーバーを楽しむことはできないか
の二つになります。
この考えが功を制したのか今ではコーヒーの品種は200を超えるほどにまでなりました。
それぞれ違った個性があるのでよく店頭でも目にするものをご紹介していきます。
~ティピカ~
こちらの品種はコーヒーが世界で初めて発見されたときの原種に最も近いものだと言われています。
見た目の特徴としては、“先端が尖っていて、細長い形”をしているものがほとんどです。
ただこのティピカ種もアラビカ種同様に病害虫に弱く、なかなか生産量を増やすのが難しい状況が続いています。
それでも需要があるのは、優しい香りと上質な酸味にあります。
コーヒー栽培に良い条件下で育ったコーヒー豆は特に豊かな甘味も持ち合わせており大変人気が止みません。
~ブルボン~
ブルボン種はティピカ種をイエメンからブルボン島(フランス)に移入された際に突然変異によって生まれた品種になります。
この段階でもまだ病害虫に弱く、ブルボン種をさらに品種改良する取り組みが行われています。
ブルボン種は豊かなコクと香りに優れておりますが、隔年収穫のため収穫量は比較的少ないほうです。
見た目の特徴はティピカよりも小粒で丸っこく、S字のセンターカットが入っています。
上記の写真はブルボン種の中でおすすめするシングルオリジンのコーヒー豆になります。
上質な柑橘系の酸味とライトな飲み口が特徴のコーヒーとなります。
<レシピ>
コーヒー豆 11g
抽出量 140ml
抽出時間 2:31
蒸らし 20~25秒
抽出器具 Kalita 台形ドリッパー
~マラゴジッペ~
1870年にティピカがブラジルにて突然変異したことにより生まれた品種になります。
コーヒーノキがブルボンやティピカよりも高く育ち、かなり大きな生豆が収穫できます。
その大きさから「ジャイアントビーン」と呼ばれることもあるのだとか。
気になる風味はやや淡泊なところがありますが、見栄えの良い見た目で人気が高いです。
~パカス~
1956年にブルボンがエルサルバドルで突然変異したことによって生まれた品種になります。
根付きがいいので養分を良く取り込むため実が早く熟します。
低地栽培に適しているので干ばつに強く砂の多い土壌でも育てることが可能です。
小さな実から芳醇な豆が育ちとてもおいしいです。
~パカマラ~
こちらはなんと1950年代にエルサルバドルで“パカス”+“マラゴジッペ”を交配したことで生まれた品種になります。
標高の高い場所で育てられたコーヒー豆はとっても甘く、香り高いことで人気です。
豆が柔らかいため焙煎しやすいのもいいですね。
マラゴジッペの遺伝もあってなのか他の豆に比べて大きいサイズに思えます。
このコーヒー豆はフルーティな香りが鼻に抜け爽やかな味わいのためリラックスしたいときにおすすめのコーヒーです。
<レシピ>
コーヒー豆 13g
抽出量 145ml
抽出時間 2:52
蒸らし 20秒
抽出器具 Kalita ウェーブドリッパー
クリアで雑味のない風味をより際立たせるためにウェーブドリッパーでサッと抽出を行いました。
~カトゥーラ~
1935年にブルボン種がブラジルで突然変異したことによって生まれた品種になります。
木の幹は太く短く、枝が多いので密集栽培に適しています。
収穫量はなんとティピカの3倍にも及び特に中南米で栽培されています。
~ムンドノーボ~
こちらはブルボン種とスマトラ種を交配したことで生まれた品種になります。
成長力があり病気に強く、収穫量も多いため需要が高いです。
ブラジルでよく栽培されており、ブラジル産のコーヒーのバランスの良さはこの品種が支えていると言っても過言ではありません。
~カトゥアイ~
1949年にカトゥーラとムンドノーボを交配したことによって生まれた品種になります。
こちらの品種は実が枝から落ちにくいため強風にも強く栽培しやすいです。
風味はムンドノーボに近くバランスの良い味をだしてくれます。
~ビジャ・サルチ~
コスタリカ西部でブルボンが突然変異したことにより生まれた品種です。
見た目はブルボンに似ていますが、やや小粒で少し細長い形をしています。
豊かな酸味とフルーティーな風味にリピーターが少なくない品種となっています。
野生種の品種が・・・!?
今ご紹介した品種はすべてティピカやブルボンを起源としたものでしたが、このどちらをも起源としない野生種の品種が存在します。
それは「ゲイシャ」と言い、かなり高い評価を受けています。
1931年にエチオピアで発見された品種で、日本の“芸者”とは関係はありません。
細長く特徴のある形をしており、その味わいも個性的です。
その風味はよくレモンティーに例えられることがあります。
少し他のコーヒーに比べてお値段は高いのですが、一度は試してみる価値があるに間違いありません。