今回はインドネシアのコーヒー豆の中でも主流豆ともいえる“マンデリン”と“トラジャ”を色んな視点から比較してみました。
Contents
インドネシア産コーヒーの特徴
インドネシアは東南アジアの南部にあり東西に5,000kmの長く伸びた世界最多の島々を持つ国です。
島の数は1700個近くとも言われるほど多く、
その中でも赤道直下の島は多くコーヒーの栽培に適していると言えます。
実際にコーヒー生産量が世界第4位になったこともあるほどのコーヒー生産国となっています。
そんなインドネシアでも特に定評のある「マンデリン」と「トラジャ」の特徴をさっそくみていきましょう。
コーヒー豆の成り立ち
インドネシアでは17世紀末にコーヒー栽培が始まりましたが、
その頃インドネシアはオランダの植民地下にありました。
当初はアラビカ種も多く栽培されていましたが、
20世紀に入った頃に「さび病」が流行し、
コーヒーノキは壊滅的な被害を受けました。
かろうじて生き残ったアラビカ種をもとに、
スマトラ島のマンデリン族が栽培したものがマンデリンの誕生です。
一方でトラジャが初めて生産されるようになったのは、
第二次世界大戦以前あたりになります。
スラウェシ島にある標高1,200mの山岳地帯「トラジャ地方」で、
栽培されているためトラジャと呼ばれています。
当時のオランダ王室ご用達に指定されるほど良い評価を受けていました。
がしかし、インドネシアの独立と共にトラジャの生産が衰退してしまいました。
もうトラジャの生産は諦めようかと思ったその時手を差し伸ばしたのが日本のキーコーヒーです。
キーコーヒーの援助によって1970年代に生産を再開にまで至りました。
![](https://i2.wp.com/tipsofcoffee.com/wp-content/uploads/2019/05/E5CF62F1-5A9B-4ED5-A9CA-4233F2EAE991.jpeg?fit=640%2C640&ssl=1)
マンデリン
スマトラ島はもともと火山灰の土地であり優れた腐葉土のおかげで、
大変肥沃な土壌が形成されています。
そのためほとんどが有機栽培となっております。
また標高が1,800〜1,900mの高原地帯での栽培により昼夜の寒暖差が大きく、
栽培されたコーヒー豆は複雑で豊かな味わいになります。
グレードは欠点豆の数で分けられており、
1から5までの5段階で300gに対して欠点豆の数量が0〜3個の場合、
最上級のG1がつけられます。
マンデリンは酸味が少なく苦味成分が強い、コクのある味が特徴。この個性を1番生かせるのはシティ〜フルシティの焙煎が◎。
![マンデリン フルシティロースト コーヒー豆の写真](https://i2.wp.com/tipsofcoffee.com/wp-content/uploads/2019/05/59E2F034-300B-4934-BC6E-49C02A428635.jpeg?fit=640%2C640&ssl=1)
写真の通り今回はフルシティローストで均一に焼き上げました。
味の五段階評価
苦味:★★★★☆
酸味:★★☆☆☆
甘み:★★☆☆☆
コク:★★★★☆
香り:★★★☆☆
上記はフルシティローストの豆をハリオv60にて、
コーヒー豆:14g
お湯:140ml(88°)
蒸らし:20秒
抽出: 1分42秒(3回注湯)
この抽出方法での味の評価になります。
深めのコーヒー豆を淹れる際は、お湯の温度が重要だと考えています。なぜかというと、元々深煎りのコーヒー豆は苦味をしっかりと抽出してくれるので、高温抽出してしまうと逆にえぐみまで一緒に出てきてしまいます。
なので90℃より低く意識するとコーヒーの良さを引き出せる抽出なります。
そのまま飲むのはもちろんですが、ブレンドに混ぜたり、濃いめに抽出してミルクを加えてカフェオレとして飲むのもおすすめ。カフェオレはコーヒーとミルクの対比が5:5のものを指します。
トラジャ
トラジャ地方は日中の温度差が15度以上という赤道直下の厳しい自然環境の中で栽培されており、コーヒー豆が比較的に“大粒”なのが特徴。
年間降水量3,000mm、平均気温20〜22度。気温・雨量・地質などの条件がアラビカ種の栽培にもってこいの土地。
他にも無農薬での栽培、収穫も一つ一つ丁寧に摘み取り、脱穀やふるい分けを何度もハンドピックで行うことで優しさが風味にも表れています。ソフトな苦味と個性的ながらも芳醇な香り、最後のふんわり甘みが口の中を柔らかくまとめてくれます。
![トラジャ フルシティロースト コーヒー豆の写真](https://i2.wp.com/tipsofcoffee.com/wp-content/uploads/2019/05/9A21D2EB-F4B2-4B1D-A369-A1E51BA23348.jpeg?fit=640%2C640&ssl=1)
トラジャは普通フレンチロースト(深煎り)で焙煎されていることが多いと思われますが、フルシティロースト(中深煎り)で焙煎してみたところ思ったより風味が豊かで香りがよく広がったためフルシティでのトラジャを一度口にしてみて欲しいものです。
味の五段階評価
苦味:★★★☆☆
酸味:★★☆☆☆
甘み:★★★☆☆
コク:★★★★☆
香り:★★★★☆
上記はフルシティローストの豆をハリオV60にて、
コーヒー豆:12g
お湯:140ml(87°)
蒸らし:20秒
抽出: 1分49秒(3回注湯)
この抽出方法での味の評価になります。
淹れたときからほんのり甘みのある華やかな香りがしており、口に含むとまず深いコクと軽い苦味が広がる。その中にほのかな甘みを感じ長い余韻を楽しめます。
なめらかで力強いコクを楽しむためにストレート、またはクリームを入れて飲むのもおすすめです。
まとめ
「マンデリン」と「トラジャ」について比較していきましたが、同じ国で生まれ、同じ焙煎度合で焼いていても、育てられた環境などによってそれぞれ違った良さがあり、苦味が特徴的だけども苦味の種類もまた違って面白いなと感じました。
苦味の中でも本当に苦味を強く求めるならば“マンデリン”、ほんのり優しい甘みも求めるなら“トラジャ”をおすすめします。
豆それぞれの個性を上手く引き出せる抽出方法をまだまだ研究していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。