焙煎をする上で欠かせないのが「カッピング」になります。
しかし中々普段カッピングを見たり、習ったりする機会が少ないため目的や方法を知らない人も少なくないことでしょう。
そんなカッピングについてまとめてみました。
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カッピングとは?
カッピングとは簡単に言うと“コーヒーの善し悪しを評価するため”に行います。
大会などではコーヒー豆を点数によってグレードするために行い、一般的には焙煎したコーヒー豆の味を見るために行われることが多いです。
なぜ抽出したコーヒーで評価しないのでしょうか?
これは色んな説がありますが、一番の要因は抽出したコーヒーで評価するとなると全てを全く同じ条件(抽出温度や蒸らしの時間など)の下で味の均一化を図るのが難しいことからカッピングが採用されています。
カッピングには2パターンある?
このカッピングは以前は、欠点がある度に点数が引かれていく“ネガティブ評価”(ブラジル方式とも言われている)が主流でした。
しかしスペシャルティコーヒーなど元から品質の高さを誇っているコーヒー豆に対して欠点を探すよりも長所を評価するほうが適しているという考えから“ポジティブ評価”による点数付けが現在では多く採用されています。
とそんな中でもカッピングは大きく2パターンに分けることができます。
「SCAA方式」と「COE方式」になります。
ではどんな違いがあるのでしょうか?
SCAA方式
こちらは主にオークション用など一度に大量のコーヒー豆の評価をする際に採用される方式となっています。
一回に60kgの麻袋を約250袋分を評価しないといけないため、まず初めに生産国の地区ごとのコーヒー豆の風味を把握しておく必要があります。
そうでないとその国の平均的な味が分からず判断材料が足りないことになってしまうためです。
この評価方法は一度に多くの量の評価付けが行える一方で、一つ一つのコーヒー豆をじっくり評価しないのでスペシャルティコーヒーとコモディティコーヒーの選別を行う程度の評価がメインとなります。
採点方法については全10項目(後ほどご紹介します)で採点を行います。
がここでポイントがあります。
上の10項目の中で➄Uniformity、➇Cleancup、➈Sweetnessの3つの項目については自動的に10点ずつ付けられます。
ワインの評価でもあるらしいのですが、数多くの生産地の中からこの評価を受けるまで勝ち上がってきたことを踏まえてあらかじめ30点分の基礎点をあげるのが礼儀だという考えから定められました。
つまり残りの7項目を10点満点で点数をつけて「7×10点満点+30点=」の計算によってコーヒー豆は評価されます。
COE方式
この評価方法では先ほどに代わって比較的少ない量のコーヒー豆をじっくりと採点する方法となります。
家庭で焙煎したコーヒー豆の味を見るのにもこちらの方法が適していると思われます。
こちらは8項目を8点満点で採点し、+基礎点の36点が足されます。
この基礎点は、合計点が100点満点になるとわかりやすいであろうという考えからつけられました。
この方法では➀Aroma、➄Unifomityは点数に足されず8項目で採点を行います。
では評価項目についてご紹介します。
カッピングの評価項目
SCAA方式では10項目、COE方式では8項目の評価項目が以下になります。
➀Aroma
アロマ・・・挽いたばかりのコーヒー粉(ドライ)・お湯を注いだ際(クラフト)・スプーンでかき回した時(ブレイク)の香りの質と強さを評価
➁Flavor
フレーバー・・・嗅覚を味覚の両方から感じ取れる風味の評価
➂Acidity
アシディティ・・・酸味の評価になりますが、これは酸味の強さではなく質を評価します。例えばポジティブなものか、重たくないか、柑橘系かなど。
➃Body
ボディ・・・これは日本ではよう「コク」と表されます。このコクの強さを評価
➄Uniformity
ユニフォーミティ・・・同じコーヒーを複数のカップに用意し、すべてのカップの味の均一性を評価
➅Balance
バランス・・・酸味や苦味、コクなどに突出する要素はないか、逆に物足りなく感じないかを評価
➆Aftertaste
アフターテイスト・・・吐き出した後に口に残る風味や口当たりを評価。嫌な感じはしないか、滑らかな口当たりかなど。
➇Cleancup
クリーンカップ・・・味の欠点や雑味かないかを評価。ここで重要なのはコーヒーに透明性を感じるかどうかです。
➈Sweetness
スウィートネス・・・こちらは甘味を評価します。コーヒーにおいての甘味とは砂糖などの甘味ではなく、コーヒーチェリーの熟した甘さのことを指します。
➉Overall
オーバーオール・・・総合評価になります。全体的な風味に奥深さや個性があると高得点を付けられることもあります。
カッピングに必要なもの
カッピングに必要なものは以下のものになります。
・グラス(200mlサイズのもの)
・スプーン(面が広いものが好ましい)
・コーヒー粉 10g(中粗挽き)
・お湯 180ml
・取り除いた泡やコーヒー粉を入れるカップ
・吐き出したコーヒーを入れるカップ
・スケール
家にある物でも代用できるものがほとんどであるため誰でも簡単に行うことができる方法です。
カッピングの手順
いよいよカッピングの手順をご説明します。
➀まず中粗挽きに挽いたコーヒー粉をグラスに入れ、香りをチェックします。(ドライ)
➁グラスにお湯(約90℃)を180ml注いだら香りをチェックします。(クラスト)
➂そのまま4分たったら表面のコーヒー粉をかき回すように三回スプーンを入れます。この時にも香りをチェックします。(ブレイク)
➃表面に浮いている泡やコーヒー粉を取り除きます。
➄スプーンにすくったコーヒーを勢いよくすすぎ込み、風味を確かめたら吐き出します。
(ズズズッと音が出るくらい吸うのがポイント)
➅ ➄をコーヒーが冷めるまで繰り返す
以上になります。
注意点としましてはスプーンはグラスごとに水で注いで洗うようにしてください。
実際にやってみて
今回“エルサルバドル エルマハワル農園 ブルボン”をカッピングしてみました。
このコーヒー豆はスペシャルティコーヒーであるため、COE方式(ポジティブ評価)で評価を行いました。
カッピングを始めて行ったときは戸惑いながらでしたので中々味わって評価するのが難しかったのですが、回数を重ねるごとに慣れていきしっかり味の質まで感じるようになりました。
カッピングの初心者の方にはまずコモディティコーヒーとスペシャルティコーヒーとで飲み比べてみると味の違いが明確に分かり、練習には適しているかと思われます。
カッピングのコーヒーとドリップしたコーヒーとでは風味が全く異なります。
カッピングのほうが味や香りがダイレクトにくるので評価しやすいですが、その分雑味や口当たりなどがざらついてゆっくり味わうには向いていません。
フレーバーなどを表すには実際に色んな食材の味を知っておく必要があります。
参考までにフレーバーホイールと言って、風味の表現をまとめたグラフのようなものが存在します。
様々な風味が掲載されているため味の表現の手助けをしてくれるに違いありません。
とにかくカッピングは回数を重ねることで表現力が身につきます。
実際のカッピングでは1点の差でそのコーヒー豆を生産した農家の今後を大きく分けることになります。
それほど重要な工程であることを普段から意識しながら行っていきたいものです。