コーヒーの淹れ方を勉強するため参考書などをパラパラとめくっていると、
必ずと言っていいほど”蒸らし”という単語が出てきますが、
これは一体どのような役割を果たしているのでしょうか?
また抽出において必ずしも必要な工程なのでしょうか?
蒸らしとコーヒー抽出の関係性に迫っていきたいと思います。
コーヒーの抽出における蒸らしの役割

さまざまな珈琲関連の本を読んでみた結果、
どうやら蒸らしとはコーヒー粉とお湯をよく馴染ませることを目的としているようです。
コーヒー粉は多孔質状になっており水分をよく含みますが、
水分を含む前には炭酸ガスが入っておりますので、
コーヒーの風味を上手く引き出すには炭酸ガスを上手く逃してあげる必要があります。
それが”蒸らし”というわけですね。
一般的な蒸らしのやり方としては、
一投目で粉全体にお湯が行き渡るように掛けて、
おおよそ30秒ほど待つだけで簡単に出来ます。
蒸らしの役割と一般的なやり方を頭に入れた上で今回の本題になります。
20〜30秒が一般的な蒸らしの時間ですが、それ以上に蒸らしを行なったり、また逆に短い時間で行った際に味にどのような影響を与えるのか?
蒸らしの秒数を変えて検証を行なってみました。
蒸らしによる味わいの変化
今回は蒸らしの時間を、
0秒・10秒・30秒・50秒
の4パターンの抽出で検証を行いました。
条件を揃えるために使用する抽出器具とコーヒー豆は同じものを使用します。
抽出器具は味のブレために使い慣れたハリオv60、
コーヒー豆は普段からよく飲むブラジル サントスNo.2を採用しました。
また基本的な抽出レシピは、
コーヒー豆 12g
お湯 140ml(88°)
注湯回数 4回(内1回は蒸らし)
抽出時間 2:50
蒸らし0秒

蒸らしを行わずにコーヒーを抽出しましたが、
全体的に味が薄いな、と感じました。
空気も2回目の注湯で大きくはじけるように抜けていたのでやはり上手くお湯と馴染めていないのがわかります。
蒸らし10秒

蒸らしを10秒行ったコーヒーは香りが程よく感じられましたが、
風味のほうはツーンとくる酸味が感じられ、
味のバランスの悪さも同時に感じられました。
コーヒー豆にもよりますが、
苦味やボディの強いコーヒーが苦手な方は、
蒸らしの時間を少し減らしてみると良いのかもしれないですね。
蒸らし30秒

蒸らしを30秒行ったコーヒーは酸味と苦味のバランスがとれて、
全体的にまとまりのある風味に仕上がったように感じます。
香りも香ばしいナッツの香りが口いっぱいに広がることでさらに風味を後押ししてくれました。
蒸らし50秒

蒸らしを50秒行ったコーヒーでは、
深い苦味を感じられる印象がありました。
またコーヒーを注ぐ際にも香りがあまり広がらず、
苦味ばかりが強くなったので苦味を出したい時に良いかもしれません。
蒸らし時間による風味の変化:まとめ
蒸らしの時間と味の変化を簡潔まとめた図が↓になります。

蒸らしの時間を短くすると酸味が際立ち香りが爽やかなコーヒーになり、
長くすると苦味が強くボディの強いコーヒーになる傾向があるようです。