現在、ストレートコーヒーでも個性豊かなコーヒー豆がたくさんあります。
がしかし、自分の好みにぴったりのコーヒー豆を探すのは中々難しいですよね。
ブレンドは風味のバリエーションが豊かで、自分で配合から焙煎まで決めて作れるのできっと好みのコーヒーを作ることができます。
ということで今回はブレンドコーヒーの配合に着目していきます。
Contents
ブレンドのやり方
まず、ブレンドの配合の方法には「プレミックス」と「アフターミックス」の2パターンがあります。
「プレ」=“前に”と「アフター」=“後から”という意味で、焙煎の前に配合するか、焙煎した後に配合するかの違いです。
焙煎の前に配合(プレミックス)は、まとめて一回の焙煎でできるので手間がかかりません。
その代わり色んな種類の豆を一度に焙煎するので、厚さの違う豆などで色ムラが懸念されます。
一方焙煎した後に配合(アフターミックス)はそれぞれの豆を適切に焙煎できますが、コーヒー豆ごとに焙煎をし、混ぜる手間のかかる作業となります。
それぞれにメリット、デメリットがありますが、家庭用でブレンドするのであれば焙煎されたコーヒー豆を買ってアフターミックスするのがおすすめです。
ブレンドの配合のポイント
ブレンドの配合を決める際、コーヒー豆は4種類までにするのがセオリーです。これはあまり多すぎたらお互い風味がケンカしてまとまりがなくなってしまうためです。
同様の理由で焙煎度合も2種類までに抑えるのが基本です。
ここで突然なのですがそもそも何故コーヒー豆をブレンドする必要があるのでしょうか。
大きく分けると「味の幅が広がる」「品質や価格の安定化」の2つが主な理由です。
それを踏まえた上でブレンドの配合を決めるには何パターンかあります。
<ベースになる豆を決める>
例えば苦味を強く感じるブレンドを作りたいとなれば、ベースになる豆を苦味に特徴のある豆(マンデリンやグアテマラなど)を選びます。
ベースに決めたコーヒー豆は30%以上の割合の量を配合します。
市販のブレンドコーヒーの表記に書かれているものも必ず30%以上配合されているものだけが表記されています。
さらにベースに決めたコーヒー豆の味を目立たせたい方は50%以上の割合にすると際立ちます。
<風味が異なる豆同士を混ぜる>
全く違う風味のコーヒー豆を合わせることでブレンドの風味に幅がでて、ストレートコーヒーにはない複雑な香りを生み出すことができます。
この場合は3種類目にバランスのとれたコーヒー豆を加えると味にまとまりがでます。
この逆に風味が似てるものを合わせて最後にアクセントのある個性的な豆を少し加えるのも面白いです。
実際にブレンドコーヒーを作ってみよう
パターン①
初めに考えついたブレンド内容はバランスをとる為の“ブラジル サントスNo.2”、味に深みを出すために“コロンビア スプレモ”、そして甘さと苦味を持ち合わせた“グアテマラ アンティグア”の3種類です。
配合比率につきましては、最終的にバランスのとれた風味にしたかったため、
アンティグア:サントス:スプレモ
1 : 6 : 3
上記のようにブラジル サントスNo.2をベースにしました。
焙煎度合いはなるべく統一感を出したかったことからサントスとスプレモはハイロースト、アンティグアはシティローストにて焙煎を行います。
ではさっそくブレンドしたものをカッピングしてみましょう。
<カッピングの結果>
お湯を注いだ後の香り(クラスト)に華やかさや深みを感じられず、ほんのり焦げたような香りがしました。
またカッピングをしていく内に段々と渋みなど味のブレも感じるようになりました。
味のバランスはもちろんですが、香りを楽しむことのないコーヒーとなってしまいました。
この結果からコロンビア スプレモを同じコロンビアのエメラルド マウンテンに変えてみようと考えました。
エメマンは非常に香りが華やかなのでこのコーヒー豆を加えることでブレンドの印象が一気に明るくなるのではないかと考えられます。
パターン②
パターン➀のコロンビア スプレモ⇒コロンビア エメマンに変更し、香りを出そうと考えたのがこのパターン②になります。
比率は先ほどと変えずに、エメマンはハイローストにて焙煎を行います。
<カッピングの結果>
パターン➀のコーヒーに比べると香りの広がるコーヒーにはなりましたが、それでも全体的なまとまりがなく個々の味がぶつかっているように感じました。
これでは美味しいコーヒーにはほど遠い…。
パターン③
初めてオリジナルのブレンドを作る際はまず2種類で作ることをおすすめします。
このワードをよく本で目にしていましたが実際にブレンドコーヒーを作っていく上でよくわかりました。
1からブレンドコーヒーを作り上げるのは並大抵のことではありません。
現に失敗に失敗を重ねていく中でもっとシンプルに美味しいと思えるコーヒーを作るにはどうしたらいいのだろうかと考えたときに先ほどの言葉が頭に浮かびました。
というわけでこれまでの試作は一度全て置いておき、ここからは2種類のコーヒー豆を使ったブレンドを作っていこうと思います。
ブレンドを作る上でどうしても上手くいかない時には思い切って白紙に戻す勇気も必要です。
ではどのコーヒー豆を配合するかかなり悩みましたが、まず味の安定化、そして甘味のあるブラジル ショコラを第一候補に考えました。
ここに香り高い“エチオピア シダモ”を加えてみてはどうだろうか?と思いブレンドするコーヒー豆は、
「ブラジル ショコラ サントアントニオ農園」
「エチオピア シダモ」
に決めました。
さあ、ブレンドするコーヒー豆が決まったら次は配合を決めなくてはいけません。
その前にブラジルショコラとエチオピア シダモはそれぞれハイロースト、フルシティローストにて焙煎をしています。
ブラジルショコラとエチオピア シダモの割合をどうしようか悩んだ末にまずは香りを引き立たせたかったことからエチオピア シダモの割合が多い「2:8」で作ってみることにします。
ブレンドする際にはしっかり混ぜて味ムラが出ないようにすることが大切です。
私は大きめのキャニスターに入れてシャカシャカとシェイクしてブレンドしました。
いよいよカッピングしていこうと思います。
<カッピングの結果>
まずコーヒー豆を挽いたときの香り(ドライ)が広がり、期待感が高まりました。
カッピングしてみるとほろ苦さの中にコクもあり、後味も嫌な感じが残りませんでした。
何回か繰り返していっても味にブレは感じられなかったです。
あえてこのブレンドの風味を例えるならばビターチョコのような苦味と甘さを兼ね備えている風味だと思いました。
カッピングだけではまだ本当に完璧だとは言い切れないと思い、実際に抽出してみることにしました。
ブレンドの味を確かめる抽出方法にはペーパードリップの“ハリオv60”を採用しました。
理由としては普段よく使っていて安定した抽出が可能であったためです。
ではシダモ8:ショコラ2の割合でのブレンドの味を確かめてみましょう。
<いれ方>
コーヒー豆 12g
抽出量 150ml
抽出時間 2:25
湯温 82℃
驚いたことに味に安定感があり、想像していた風味に近くなったのではないかと思われます。
エチオピア シダモの華やかな香りがしっかりと広がり、味が変に突出することもなく飲みやすいように感じました。
ただわがままを言うともう少しショコラの甘味を足したいなとも感じました。
なのでここからはもう少し微調整をしていきたいと思います。
パターン④
合計100g当たりシダモ⇒75g、ショコラ⇒25gの配合でブレンドしていこうと思います。
焙煎度合いは先ほどと変えず風味の変化を見ていこうと思います。
<カッピングの結果>
予想していたように甘さが増して一段と風味豊かになったように感じました。
このブレンドはクセが強くなく、風味のバランスもとれているため多くの人に好んでもらえるコーヒーになったように思われます。
最後に
今回初めてオリジナルブレンドを作ってみてかなりの時間を要してやっと一つのブレンドを作ることができました。
実はこの記事に書ききれていない部分でいくつもの試作、検証を重ねました。
これだけ時間をかけて作ったブレンドには非常に愛着がわいて仕方ありません。
次は3種類や4種類のコーヒー豆を使って複雑ながらもバランスのとれた味わいのブレンドコーヒーも作ってみたいなと思います。
みなさんもぜひ時間のある時に自分だけのオリジナルブレンドコーヒーを作ってみませんか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。