コーヒーオイルが美味しさの秘訣?コーヒーに含まれる油分について

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コーヒー豆に含まれている「コーヒーオイル」というものをみなさんはご存知ですか?

普段コーヒーをよく飲むという方はカップ中に浮いている油や、
テカテカと表面が光ったコーヒー豆を見たことがあると思います。

それこそがコーヒーオイルです!

コーヒーオイルをよく知ることはコーヒーの新たな楽しみ方を知ることにも繋がります。

今回はコーヒーオイルが及ぼすメリット・デメリットについて紹介していきたいと思います。

コーヒーオイル が入ったカップ

Contents

コーヒーオイルとは?

コーヒーをカップに注いだ際に表面に浮かぶ油のようなものこそが、
まさにコーヒーオイルになります。

コーヒー豆とはもともと”コーヒーノキ”という植物の種子であるため、
ごま油や奈種油などと同じように、コーヒー豆にも油分が含まれているというわけです。

コーヒーの種子に含まれている成分は、
おもに多糖類、少糖類、脂質、タンパク質、有機酸などになりますが、
この成分のなかの1つである脂質とは、ずばりコーヒーオイルの事を指しています。

コーヒーオイル 含有量
コーヒー生豆状態のおおまかな成分割合

コーヒーオイルはなぜ出てくるのか

コーヒーの生豆に脂質が含まれていることは理解できたかと思いますが、
生豆時には感じられなかった油分がなぜ焙煎すると表面に分かりやすく出てくるのでしょうか?

普段生活する中でコーヒーの生豆を見る機会はそう多くありませんが、
生豆をよく見てみると焙煎後コーヒー豆よりもやや小さいのが分かります。

ブルボン種 コーヒー
焙煎すると膨らむよ!

コーヒー豆が焙煎するとなぜ大きくなるのか、
これは熱を加えることによって生豆内部の水分が液体から気体に状態変化し、
内側から膨らんで豆の組織を破壊し膨張していくためです。

つまり、焙煎後にコーヒーオイルが目立つようになるのは、
焙煎によって壊れた組織から脂質が表面ににじみ出ているためというわけです。

ついでなんですが生豆とか興味があるという方は問屋なんかで調達してみてください。
卸売だけかと思いきや意外と家庭向けに1キロとかで売ってくれるとこも多いです。
ちなみに、生豆1キロだと焙煎して大体700~800gとかになります。
g数に関しては生豆の水分量や欠点豆の量、焙煎度合にもよりますので目安程度です。

ネットで買える問屋さん。

コーヒーオイルの量は焙煎度によって変化するのか?

結論から申し上げますと、
脂質は成分全体のおよそ1~2割ほど含まれておりますが、
蒸発する水分とは違って、この量が焙煎によって変わることはほとんどありません。

コーヒーオイル  含有量 焙煎後
焙煎後のおおよその成分変化

しかし、変わることがないと聞いて少し疑問に思いませんでしたか?
特に日ごろからコーヒー豆を取り扱っている方は、テカテカしている深煎りコーヒー豆や、フレンチプレスで淹れた時に表面に浮かぶコーヒーオイルのことを思い浮かべたことでしょう。

深煎りのコーヒー豆のほうがコーヒーオイルをたくさん含んでいると思っている方は、
意外にも少なくないかと思われます。

しかし、実際には焙煎度合による脂質量の変化はなく、深く焙煎するほど水分量の減少や糖類が変化して、脂質の比率が上がることでコーヒーオイルが増えたと錯覚してしまうのです。

また深煎りの豆でコーヒーオイルが特に顕著に出てきてしまうのは、
焙煎により細胞壁の一部がより壊れ内部の脂質が移動しやすくなるためです。


ようするに、浅煎りと深煎りのコーヒー豆の脂質量はどちらも同じというわけですね。

左側が中煎りのコーヒー豆、右側が深煎りのコーヒー豆
左:中煎り 右:深煎り

見た目的には深煎りの方がコーヒーオイルたっぷりに見えますね。

コーヒーオイルがもたらす様々な影響について

コーヒーオイルを含んでいることによって
コーヒーの風味、または健康にも影響がでるのでしょうか?

健康とコーヒーの風味という2つの観点からコーヒーオイルについてみていきたいと思います。

コーヒーオイルの健康への影響

オイル イメージ画像

オイル(=油)と聞くと揚げ物に使うサラダ油を真っ先に連想する人は少なくないですよね。
かくいう私もオイルと聞けば食用油を想像する方でした。
その食用油のイメージといえば、なんとなく健康に悪いといったイメージではないでしょうか?

実際にコーヒーオイルには「コーヒー・ジテルペン」という成分が含まれており、
一時的にコレステロール値が上昇すると発表されました。

しかし、この作用は一時的なもので健康にはさほど影響しませんので、
特に気にする必要はないと思われます。

基本的に1日に飲むコーヒーが2~3杯程度であれば、
「コーヒー・ジテルペン」による影響は問題ないです。

むしろ、コーヒーに含まれるクロロゲン酸の抗酸化作用、
カフェインのさまざまな働きで健康への良い効果が期待できます。

ただしこれ以上多いとコーヒーオイルに含まれるジテルペンはもちろんのこと、
カフェインの過剰摂取など様々な要因で健康に悪影響が出る可能性があるため、
コーヒーの飲み過ぎには注意が必要です。

ジテルペンについて参考文献
Revised Section F: Natural products and related compounds (degruyter.com)
ジテルペン – Wikipedia

カップの風味にもたらす影響

コーヒーの表面にテカテカとしたコーヒーオイルが浮かんでいると、
何となく美味しくなさそうなイメージを持ってしまいませんか?

しかし実際にはコーヒーオイルはコーヒーを味わいより深くするありがたい存在です。

コーヒーオイルを含めば含むほど香りや甘味が出て、カップに深みや複雑さを足してくれます。
逆に言えばコーヒーオイルが少ないほど、あっさりとしたライトな飲み口になるというわけです。

好みは人それぞれ異なるため自分に合った風味にコーヒーオイルを調整する必要があります。

そしてもちろん抽出方法によって、コーヒーオイルを調節することが可能です!

抽出したコーヒー
ペーパードリップで抽出したコーヒー

コーヒーオイルを調整する抽出方法

焙煎後のコーヒー豆に含まれている脂質量自体は変わりませんが、
抽出方法によってコーヒーに含まれている
コーヒーオイルの量を調整することができます。

これを知っておけば美味しいコーヒーに一歩近づくこと間違いなしです。

コーヒーオイルを最大限生かした淹れ方

まずはコーヒーオイルをフル活用したコクのあるコーヒーを抽出する方法をご紹介いたします。

コーヒーオイルを多く抽出するには、
浸漬式の代表ともいえる“フレンチプレス”や、
透過式でいえば“金属フィルター”を用いた抽出が適しています。

特にフレンチプレスではコーヒオイルや微粉を遮るものがほとんどないため、
さまざまなコーヒーの成分がダイレクトに抽出されます。
コーヒーオイルを最大限活かすのにもぴったりですね。

そのためまずはフレンチプレスを用いたコーヒーの淹れ方を紹介していきたいと思います。

ではさっそく淹れていきましょう。
今回使用するコーヒー豆は“ゴールド トップ マンデリン”を採用しました。
マンデリンは苦味とコクが特徴的ですが、
コーヒーオイルを際立たせることによって芳醇な香りを楽しむことが出来ます。
高いクオリティと安定した風味でインドネシア産の豆の中でも大人気のコーヒー豆です。

焙煎度合いはフルシティローストですが、表面がかなりテカテカしているようにみえます。
丁度いい焙煎具合で美味しそうですね。

ゴールド トップ マンデリン 深煎り コーヒー豆
ゴールド トップ マンデリン 深煎り

<レシピ>
コーヒー豆 15g
抽出量 300ml
抽出時間 4:00
湯温 92℃
抽出器具 ボダム フレンチプレス

フレンチプレスで淹れることによって抽出したコーヒーの表面に油膜が張り、
かなりの量のコーヒーオイルが見られます。
コーヒーオイルの風味に対する影響を知った今ではとてもありがたい存在ですね。

コーヒープレスで抽出したコーヒーの表面を映した写真
コーヒープレスで抽出したコーヒーの表面
テカテカしているのがわかりますね。

一口飲んでみると味に深みがあり、一言では表せないような複雑な味わい”コク”を感じました。

その中でもマンデリンらしい印象強い苦味や、
華やかな香りも感じることができ、非常に満足のいく1杯でした。

コーヒーオイルは別名「アロマオイル」とも呼ばれています。
これはコーヒーオイルは香り成分が含まれていると言われており、
コーヒー豆を挽いている時や淹れているときに漂ってくる
あの良い香りはこのコーヒーオイルがあるからだと考えられています。

つまりコーヒーオイルをフルに活用しているフレンチプレスでは、
香り高いコーヒーになる傾向があるというわけです。

コーヒーオイルを抑えた淹れ方

逆にコーヒーオイルによって豆のえぐみなどの雑味が出たコーヒーは、
あまり好きではないといった方には“ペーパーフィルター”で抽出することをおすすめします。

これはペーパーフィルターが油分をたくさん吸収するため、
ペーパードリップではコーヒーオイルが比較的少ない抽出が可能なためです。

では本当にコーヒーオイルを抑えた味わいになるのでしょうか?

先ほどと同じように“ゴールド トップ マンデリン”を抽出していこうと思います。

<レシピ>
コーヒー豆 18g
抽出量 280ml
抽出時間 3:04
湯温 82℃
抽出器具 ウェーブドリッパー

Kalita ウェーブドリッパーにて抽出している様子
Kalita ウェーブドリッパー

実際に飲み比べてみた

では実際にペーパードリップにて抽出したコーヒーと、
フレンチプレスで抽出したコーヒーを飲み比べて見ましょう。

左側がペーパードリップにて抽出したコーヒー、右側がコーヒープレスにて抽出したコーヒー
左:ペーパードリップ 右:コーヒープレス

二つのコーヒーを交互に飲み比べたとき口当たりが大きく違うのがわかりました。

ペーパードリップで淹れたコーヒーはなめらか後味もスッキリしていました。
一方でフレンチプレスで淹れたコーヒーは重たい口当たりで、後まで味が残る印象を受けました。

また風味においても、フレンチプレスで淹れたコーヒーのほうがコクと甘味が感じられ、ペーパードリップで淹れたコーヒーはほどよくくる苦味がクセになる味わいでした。

表面の油膜から見てもコーヒーオイルの存在は、
やはりペーパードリップの方が抑えられていますね。

どちらのコーヒーもそれぞれ良さがあり、
同じコーヒー豆であっても全然違った風味を楽しむことができます。

焙煎後の豆は酸化しないように注意が必要

たくさん良いところのあるコーヒーオイルですが、
保管に関しては気を遣う必要があります。

コーヒー豆は空気に触れると酸化すると言われていますが、
酸化の要因の大きな一つがコーヒーオイルにあります。

他の油分同様にコーヒーオイルも空気に触れると酸化して、
コーヒーの風味を非常に悪くさせてしまいます。

酸っぱいコーヒーが苦手という人の多くは、
この酸化して風味が劣化したコーヒーのことを言っている場合が多いです。

一応コーヒーは抗酸化成分を含んでいるため酸化のスピードがゆっくりにはなりますので、
しっかり保管しておけば焙煎後2~3週間は美味しく飲むことが出来ます。

しかし、そのままにしておくと口当たりが悪く、
酸っぱく香りもない最悪のコーヒーへと陥ってしまいます。

酷いときだとマジでお腹痛くなります。
これほど恐ろしいことはありません。
コーヒー豆はあまり空気に触れないように細心の注意を払ってあげましょう。

焙煎豆の保管については密閉力の高いキャニスターなどに入れて、
高温多湿・直射日光を避けて保管しておくのがおすすめです。

以上、カップに深みと香りを持たせるコーヒーオイルの正体についてでした。

コーヒー豆の保管についてはこちらも参照ください。

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