コーヒーが現在のように多くの人に受け入れられる飲み物になるまでに大きく分けて3つの時代を乗り越えてきました。
この波のあった時代をそれぞれ「ファーストウェーブ」・「セカンドウェーブ」・「サードウェーブ」と呼び今現在この「サードウェーブ」コーヒーが世界中から注目されています。
Contents
ファーストウェーブ

19世紀の後半から1960年代にかけて、コーヒー豆が大量に生産され、お手頃な値段で大量に消費された時代を「ファーストウェーブ」と呼びます。
この時代から流通の発達によってコーヒーの値段が安価になり、コーヒーという飲み物がポピュラーになったようです。
日本でも喫茶店が建ち並び、コーヒーが大衆に親しまれる文化ができた頃となります。
しかし、この頃のコーヒー豆は大量生産に重点を置いていたことから非常に質の低いコーヒー豆だったため次第にコーヒー離れする人が増えていきました。
セカンドウェーブ
そんなときに立ち上がったのがアメリカシアトル系のコーヒーチェーン店(スターバックス・ドトール・タリーズなど)です。
何とかコーヒー離れする人に戻ってきてもらうために質の良いコーヒー豆を深く煎ってコクを増したコーヒーを提供するようになりました。
この戦略は見事に成功し、コーヒー離れしていた人やコーヒーを飲まなかった人もコーヒーを手にするようになったのです。
このように1970年代コーヒーチェーン店の台頭にて高品質の深煎りコーヒーが広まったのが「セカンドウェーブ」になります。
高品質といっても、ファーストウェーブの時代よりは質が高くなりましたが、それでもあくまでも大量消費が目的であるため現在の豆と比べるとやはり質に劣るコーヒー豆がほとんどでした。
そのコーヒー豆の質の低さを打ち消すために砂糖やコーヒーフレッシュを加える“アレンジコーヒー”が普及されたのもセカンドウェーブの特徴です。
アレンジコーヒーやカフェオレなどをロゴ付きの紙コップに注いで紙コップを片手に颯爽と歩くのがクールだとファッションアイコンが登場したのもこの時代からと言われています。

サードウェーブ
いよいよ“スペシャルティコーヒー”を多くの企業が取り入れるようになったのが「サードウェーブ」です。
コーヒーの生産地への配慮や価値などが注目され、コーヒーがカップに注がれるまでのトレーサビリティや豆の素材、淹れ方など全ての工程にこだわったスペシャルティコーヒーが注目されるようになりました。
特にお店などでの提供に一杯一杯注文が入る度に丁寧に心を込めてハンドドリップにて淹れるスタイルがこの時代に広まりました。
日本では元々喫茶店で一杯ずつハンドドリップにて淹れるスタイルがあったため日本の喫茶店の影響を受けているとも言われています。

しかしなぜここまでサードウェーブコーヒーは世界中で注目されているのでしょうか?
サードウェーブコーヒーの特徴と共にご紹介します。
①トレーサビリティの明瞭性
「トレーサビリティ」とは“追跡可能性”という意味で、栽培から消費までの経路を追跡できるものを指します。
コーヒーの場合には栽培された農園での
収穫、精製、焙煎、輸送、販売
までの経路が明確であるコーヒーが高品質として扱われることが多いです。
この経路がはっきりしているとバイヤーも消費者も安心してコーヒーを飲むことができますよね。
②シングルオリジンが出回ったため浅煎りコーヒーが主流に
これまでファーストウェーブでは中深煎り、セカンドウェーブでも中深煎り〜深煎りのコーヒーが主流でした。これは、コーヒーの質の低さをカバーするためにも深く煎って、香りよりもコクや深みに焦点を絞ったからです。
しかしサードウェーブでは、「シングルオリジン」といってブレンドしていない単一のコーヒーを飲む文化ができたことから香りやフレーバーを楽しむ人が増え、浅煎りのコーヒーが流行したのです。
スペシャルティコーヒーも多くが浅煎りを採用することがあります。これは、焙煎が短いことで風味や香りをより引き出しコーヒー豆本来の味を感じてもらうことを目的としているためです。
③ダイレクトトレード
「サスティナビリティ」によってコーヒーの栽培と流通に変化が生じました。
ちなみにこのサスティナビリティとは「持続性のある取引」、つまり環境を損なわずにコーヒーの生産を維持することを意識したことでコーヒーの生産が安定したということです。
サスティナブルコーヒーについて今度記事を書こうと思いますのでぜひ見にきてください。
と、話が逸れましたので戻しますと
このコーヒーの生産の安定を守る動きが広まったことでコーヒー豆がお店に届くまでのルートがこれまでとは変わりました。
元々は
生産者⇨生産国の生産処理業者または生豆輸出会社⇨消費国の生豆輸入業者⇨消費国のコーヒーショップ⇨消費者
の順番で私たちの元にコーヒーが届くことがほとんどでした。
しかしこのルートで行くと輸出会社や輸入業者に対しての仲介料が発生します。
この仲介料の負担をなくすためにサードウェーブ時代には
生産者⇨消費国のコーヒーショップ⇨消費者
と仲介を挟まずにダイレクトに消費国にコーヒー豆を輸出するようになったのです。
これを「ダイレクトトレード」と呼びます。
こうして少しでも消費者のニーズに合わせた提供をそれぞれの時代に工夫してきたことで現在美味しいコーヒーを手にすることができると思うと感慨深いものがあります。
また近々第4の波「フォースウェーブ」がくるかもしれませんね。